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<span>02</span><br>現代の野点「キャンプ×お茶」を自分らしく

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現代の野点「キャンプ×お茶」を自分らしく

1杯のお茶とともにココロとカラダをリセットする。そんな「ひと息」のつき方を、さまざまなジャンルで活躍するクリエイターたちに伺う連載「NODOKA TIMES」。第2回はアウトドアインフルエンサーのYURIEさんの登場です。アウトドアで至福のひとときを過ごすために、YURIEさんが心がけている「一服」とは?

気持ちを切り替えてくれる、「ひと息」の効果

––YURIEさんの1日のなかで、ひと息つきたくなるのはどんな時ですか?

1日のなかで気持ちを切り替えたい時、でしょうか。たとえば朝食後、仕事に取り掛かる前とか、戸外の散歩から帰ってきて夕食の準備をしようかな、という時とか。そのときは何も考えず、ぼーっとしながら自分の好みの飲み物を口にする。ほんの10分、15分でも、ひと息つくというアクションを入れることで、気持ちをリセットすることができます。一度ゼロに戻すことで、余裕をもって次の作業に臨めるのかな。こうやって振り返ってみると、そんなひとときを1日4、5回は設けていますね。自宅はもちろん、バンで移動している時だって、この時間を欠かすことはできません。

––ひと息入れる時間に欠かせないものはなんでしょう?

私は甘いものに目がないので、なにか一口、スイーツを。そして、お菓子に合わせた飲み物もマストです。最近、我が家では夫のために食生活を全面的に見直していまして、おやつに和菓子を食べる機会が増えました。それに伴い、飲み物をお茶に変えています。午前中からお昼は緑茶、夕方以降はカフェインレスのルイボスティーというように、時間帯によってお茶の種類を変えて楽しんでいます。まだまだ詳しくはないのですが、これからもっとお茶のことを知りたいと思って、勉強中なんですよ。

自宅の周りを1時間ほど散歩するのがルーティンなのですが、最近はボトルにお茶を入れて持ち歩くようになりました。「キンモクセイが咲いたね」とか、「落葉が始まったね」というように、自然の巡りを体感できることが散歩の楽しみですが、自分と身近な自然をつなぐデトックスの時間に、なぜかお茶がフィットする気がしています。

 

––YURIEさんの主な活動の場であるアウトドアではどうでしょう? 自宅とアウトドア、あるいはオンとオフでひと息のつき方を変えていますか?

最近はキャンプでもお茶を淹れることが多いですね。というのも、近年、一部キャンパーの間で「キャンプでお茶」というスタイルがウケているんです。キャンプというとコーヒーのイメージが強いかもしれませんが、そこをあえて、お茶で攻める。お茶と一口にいっても煎茶、抹茶、ほうじ茶…中国茶や紅茶もあります。産地によっても淹れ方によっても、それぞれ異なる香りや味わいが楽しめますから、シーンに応じて自分らしいスタイルを追求できるわけです。お作法のあるお茶は、こだわり好きのキャンパーの嗜好にマッチしているのかもしれません。

「美しいデザインって、それだけでモチベーションになりませんか?〈THE NODOKA〉のウォーターボトルは、抹茶のグリーンに白文字のロゴが映えるクリーンなデザインで、ついつい手に取りたくなります」

野点の醍醐味を、キャンプシーンでカジュアルに

––お茶の歴史を振り返ってみれば、戦国時代、千利休が豊臣秀吉の行軍途中にお茶を振る舞った野点のエピソードが知られていますが、屋外で自由にお茶を楽しみ、リフレッシュするという体験はキャンプでお茶をいただくことに通じているのかもしれませんね。

コーヒーにしろお茶にしろ、淹れているプロセスを含めてお茶のひとときを楽しむということだと思います。アウトドアメーカーからアウトドア用の野点キットも出ていますが、おいしい1杯のために費やす手間と時間はうれしいもの。一方で、大自然のなかにいるわけですから、正統派の茶の湯のような、あまりにも格式ばったことは向かないし、できません。けれども、山の中の湧き水を汲んでお茶を淹れたり、焚き火でお湯を沸かしたり、アウトドアにはアウトドアなりの手間のかけ方があると思うんです。作法を知っているに越したことはないけれど、それに囚われすぎることなく、周囲の自然をひとつの素材としてひと息の中に組み込めることが、アウトドアでいただくお茶の醍醐味なのではないでしょうか。

––アウトドアでも自分らしいひと息のつきかたを貫いているYUIREさんにとって、こうした時間をもつことの意味はなんでしょう?

根が欲張りなので、旅先や出先でゆっくりすることが苦手なんです。あれもしたい、ここも行きたいと、ついつい詰め込みすぎてしまう。そんなとき、おいしいお茶を淹れてひと息つくのどかな時間が、せわしない自分にブレーキをかけてくれます。パンパンになるまで詰め込まないで、目の前にあることに落ち着いて取り組めるよう、少しだけ余白を残しておこう。そんなことを、お茶の時間が思い出させてくれます。
お茶は、人との時間を盛り上げるコミュニケーションツールにもなっています。私の夫はお酒を飲まないので、夫と2人で過ごす時間にはこだわりのお茶が欠かせません。好みのお茶をともに味わい、あれこれ感想を言い合うことで、夫婦の会話がより深まるような気がしています。

静岡の山間部にある茶畑で、丹精込めて栽培された新茶の茶葉だけを厳選。まるごと粉砕してパッケージにとじこめました。特徴は一番茶だけがもつ甘み・旨味・渋みのバランス。茶葉の栄養素もおいしさも、余すことなく取り込んでいただけます。|

「パウダーを水で溶いただけと思えないくらい、濃厚な抹茶感があります。口のなかに残るパウダリーな食感までもがしっかり再現されていて、びっくりしました。水で溶くと甘みが、お湯を使うと苦味が強調されるので、その時の気分やシチュエーションでホットかアイスかを選びたいですね。マグカップにも使える茶筅マドラーというアイデアも、キャンプシーン向きだと感じました」

YURIE (ゆりえ)
アウトドアインフルエンサー、プロデューサー。アパレル企業の広報や服飾雑貨メーカーのデザイナーを務める傍ら、趣味のキャンプに熱中する。キャンプシーンの写真をSNSに投稿し始めたことをきっかけに、女性でも手軽に実践できる“週末ソトアソビ”の新たなスタイルを提唱するように。2018年にアウトドアインフルエンサーとして独立、現在はアウトドアメーカーとのタイアップやアウトドア空間のプロデュース、ウェブメディアでの連載など幅広く活躍する。著書に『THE GLAMPING STYLE~ YURIEの週末ソトアソビ~』(KADOKAWA)がある。
IG:@yuriexx67